末期腎不全の方へのケアについて

末期腎不全の方へのケア

 私たち西大阪訪問看護ステーションの看護スタッフはご利用者様に寄り添い、安心で安全な在宅での療養生活、またその人らしい生活ができるよう支援することをモットーにしています。それはご利用者様だけでなく、介護をされているご家族様に対しても同じ想いを持っています。では、その想いを持って具体的にどのようなことを行なっているのかご紹介致します。

ご利用者様について

 今回は、末期腎不全(まっきじんふぜん)で血液透析中、徐々に廃用症候群(はいようしょうこうぐん)が進行していらっしゃるご利用者様(A氏)へのケアについてご紹介します。

《主 病 名》末期腎不全・血液透析中、廃用症候群
《既 往 歴》糖尿病・糖尿病性網膜症・高血圧・心筋梗塞・気管支炎・アルツハイマー型認知症
《主介護者》娘様
《家族背景》娘様家族と同居
《サービス》訪問入浴(1回/週)、訪問リハビリ(2回/週)、訪問看護(2~3回/週)
《利用者様・家族様のご希望》
・できるだけ自宅で過ごしたい
・透析時に排便がないように浣腸・摘便などで排便コントロールしてほしい

ケアの内容について

 血液透析導入に伴い、透析時に排便がないように浣腸・摘便などで排便コントロールをしてほしいとの希望があり、訪問看護のサービス開始に至りました。徐々に廃用症候群が進行していますが、ご同居中の娘様も在宅での療養を希望されており、週2~3回の看護介入を行なっています。内容は主に状態観察・全身清拭・陰部洗浄・更衣・口腔ケア・摘便・浣腸です。

褥瘡発生を予防するために

 最近では食事摂取量が減少しており、褥瘡の発生リスクが高くなっています。低栄養状態が続くと筋肉や脂肪組織が減少し、骨が突出して褥瘡発生の原因になります。また、飲み込みが悪くなっていることもあり、現在は主にお粥・トロミのついたおかず・濃厚流動食を摂取されており、食事内容に迷った時・食事量が低下した時などはご家族様から相談あり、その都度利用者様に合った食事内容を一緒に考えています。

 褥瘡発生の原因には低栄養だけでなく、ズレや圧迫、摩擦などがあります。訪問時にはシーツや寝衣を整え、無理のない体勢に合わせ、かつ褥瘡が発生しやすい部位に配慮したポジショニングになるよう、ご家族様とも相談しながらポジショニング枕の位置を考えています。

残存機能が低下しないように

 全身清拭は全身の清潔を保つだけでなく、スキントラブルの観察に繋がる重要なケアです。右不全麻痺があるため、本人様に無理の無いよう声掛けを行い、本人様のペースに合わせて清拭を実施します。顔を拭く・手を拭く等、ご自分でできることはやって頂き、残存機能ができるだけ低下しないように注意しています。

誤嚥性肺炎を予防するために

 口腔内には様々な雑菌があります。高齢になってくると口腔内の自浄作用が弱まり、免疫力や嚥下機能も低下するため、誤嚥性肺炎のリスクが高くなります。私たちは、口腔内の汚れや細菌を減らす役割のある口腔ケアを行い、肺炎の予防に繋げています。口腔ケアには家庭でできる歯磨きやうがい、歯科医師・歯科衛生士が行う専門的なケアがあります。A様は訪問歯科で義歯の調整も行なっていらっしゃいますが、訪問歯科や主介護者によるケアのみでは、口腔ケアに十分な時間が取れないことがありますので、訪問看護の介入時には口腔内の観察を行うとともに口腔ケアを行っています。

ご家族の負担を軽減するために

   介入当初は車椅子への移乗は軽介助でしたが、床上で過ごす時間が増えたことにより筋力の低下が進み、現在はほぼ全介助に近い状態になっています。そのため、主介護者である娘様の介護負担が増加し、娘様が手首や腰を痛めるといった状況に繋がっています。介護者に負担がかからないような移乗・更衣・食事・体位変換のポジショニング等については、担当の理学療法士にアドバイスを貰いつつ、ご利用者様のご家族へアドバイスを行っています。少しでもご家族様の介護負担を軽減できるよう支援を行っています。

 今後についても不安の表出はありますが、傾聴やタッチングで信頼関係を築き、必要な時は社会的な支援の紹介なども行い、ご家族様の不安を軽減できるよう支援を行なっていきます。スタッフ間でも密に報告・連絡・相談、情報共有を行い、 ご利用者様・ご家族様にとっての安全・安心な療養生活を支援していきたいと考えています。